世論調査について

選挙が近付くとメディア各社では「世論調査(輿論調査)」を実施しますが、内閣支持率や政党支持率のような新聞やテレビで紹介されている調査はどのような方法で行われているかご存じでしょうか?

定期的に行われる調査以外に、内閣が変わった後や国政選挙の前など大きな出来事があった場合に行われるスポット的な調査がありますが、いずれも今は固定電話と携帯電話両方に「ランダム・デジット・ダイヤリング(RDD)」という方法で、コンピューターが無作為に数字を組み合わせて作られた電話番号にかけるという方法がとられるようになっています。

以前は「層化二段無作為抽出法」という、住民台帳や電話帳を使って一定のサンプルを抽出して電話をかける方法が主でしたが、個人情報保護や電話帳に番号を掲載しない方が増えてきたため、10年ほど前から上記のRDD方式に切り替わってきました。

有権者全員や全国民が対象になっていないのですが、統計学上は±2%程度の誤差の範囲内にあると考えられています。

ところでメディアによって数字が違うのはなぜでしょう?

これには設問の順番や聞き方、追い質問と言われる方法を取るかどうかなどによるものがあると考えられています。

追い質問というのは、政党支持率を例にすると、「あなたはどの政党を支持しますか?」という質問に対して「わからない」と答えた方に「あえて支持するとしたら?」などと聞く方法です。

SNSなどでの「アンケート」と呼ばれるものとの違いは、こういった公平性をどれだけ担保できているかというところにあります。

こういったことを覚えておいて各メディアの数字の違いを比べてみると、より世論調査が身近に感じられるのではないでしょうか。 ただし統計学の基礎で教えられることですが、世論調査の限界は「ウソ」をつかれることです。少し前では2016年のアメリカ大統領選で、世論調査ではヒラリー・クリントンさんが優勢だったけれども実際にはドナルド・トランプさんが大統領選を制したことが好例でしょう。「隠れトランプ支持者」の方が「クリントン支持」と答えていたのです。この部分については、今後の世論調査で解決していかなければいけないですね。