以前、NHKラジオ第一の主なリスナーは70代、民放AMラジオは60代から50代、FM局でも50代が中心層であり、各局がリスナー層の若返りを図っているとのお話がありました。その後、TBSラジオは2016年に30年続いた平日朝の帯番組「大沢悠里のゆうゆうワイド」を終了し、「伊集院光とらじおと」をスタートさせるなど、若年層へのアプローチを進めてきました。
しかし、2022年春に「伊集院光とらじおと」は終了し、その後任としてお笑いトリオ・パンサーの向井慧さんがパーソナリティを務める新番組が開始されました。この交代も、さらなるリスナー層の若返りを目指した動きと考えられます。
一方で、シニア層のラジオ聴取にも変化が見られます。文化放送の調査(2022年12月8日~2023年1月7日実施)によれば、シニア(60歳以上)の約80%がスマートフォンでradikoを利用してラジオを聴取しており、YouTubeの利用率(74.4%)を上回っています。これは、シニア層がスマートフォンを活用してラジオを楽しむ傾向が強まっていることを示しています。
また、LINEリサーチの調査(2022年2月17日~2月21日実施)では、ラジオを聴く手段として、10~20代ではスマートフォンが主流である一方、30代以上ではカーラジオが主な手段となっています。これらのデータから、若年層と中高年層でラジオの聴取方法に違いがあることがわかります。
さらに、伊集院光さんはTBSラジオの「伊集院光のおたよりください」が終了した後、ニッポン放送で「伊集院光のタネ」という新たなレギュラー番組を開始しています。このように、パーソナリティや番組の移り変わりが続く中、ラジオ業界全体でリスナー層の多様化と若返りを図る動きが続いています。
今後も、各ラジオ局がリスナーのニーズやライフスタイルの変化に対応し、番組内容や配信方法を工夫していくことが求められるでしょう。